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ソケイヘルニアの治療法

手術の合併症

術中合併症

■出血

ソケイヘルニアの手術中に問題となるような出血がおきることはまずありません。実際に出血に関しては電気メスの焼却や圧迫、縫合を施行し止血が得られます。


■神経の損傷

ソケイヘルニアの手術にて知覚神経の損傷がしばしば問題になります。しかし術中の誤った切離では相互の交通性から大きな問題になることは少なく、むしろ問題は縫合時に神経が巻き込まれることで、術後疼痛や不快感の原因となることが多いようです。

■精巣動静脈の損傷

精巣を養う内精動脈は内ソケイ輪の近くで切離されても側副血行路により精巣が壊死や萎縮することは少ないようです。
しかし、精巣の近くでの切離では側副血行路が乏しく精巣の血行障害が起きることがあります。

■精管の損傷

成人におけるソケイヘルニアの手術では精管は白く、触診でも硬い紐状で確認が容易なため損傷されることは少ないようです。
しかしもし、切離されてしまった場合はできる限り切離面を縫合し修復に努める事が重要です。両側精管切離では不妊の原因になることがあります。

■腸管の損傷

ヘルニア嚢の中には術前の腹圧がかかった状態では腸管が入っていることもありますが、手術における麻酔下では通常ヘルニア内容(ヘルニアの中身)は還納されていて、高位結さつ(余分な腹膜の切離)の際に損傷される事は少ないです。しかし、再発時の手術や罹病期間が長かった例では腹膜に腸管が癒着していることもあり注意が必要です。

■膀胱の損傷

内ソケイヘルニア(直接型ヘルニア)ではヘルニア嚢に膀胱が滑脱していることもあり注意が必要です。しかし、損傷されても膀胱の壁は厚いので術中に気付けば縫合修復されれば大きな問題になることは少ないです。

術後合併症

■皮下出血

皮下出血
術後早期皮下出血

術翌日〜2日目頃に陰嚢周囲の暗赤色の皮下出血がおきることがあります。
明らかな血腫形成を呈することは少ないものの、実際の出血量が多くなくても広範な出血斑を形成することもあります。処置は特に必要なく自然の消褪を待つことで十分です。


■陰嚢・ソケイ部の腫脹

陰嚢まで及ぶ腫れ術後に陰嚢を中心としてソケイ部まで腫脹(腫れる)事があります。皮下より深い部分の出血や、多くは静脈やリンパ系の還流が妨げられるために起きるもので、内ソケイ輪の絞めすぎにより中を通る精巣動静脈が圧迫されることにより起き易く、しばしば見られます。この場合も処置は特に必要なく自然の消褪を待つことで十分です。


■陰嚢水瘤

陰嚢内に水がたまることがあります。末梢側の遺残したヘルニア嚢内に漿液性液体が貯留した状態ですが、通常経過観察により吸収・消退したり、穿刺により液を排除することにより回復します。

■創感染

お風呂約1%の割合で起こります。もっともヘルニアの手術はcleanな手術野で行われる手術ですから、手術中に創部が汚染されることは無いと考えています。ですから術後は滅菌シートにより感染の防御をしつつ、余分な手を加えないことが大事です。

しかし、日帰り手術をはじめ短期入院など、抜糸やまだ傷が塞がらないうちに日常生活に戻られるケースが増えてきた為、帰宅後のシャワー時や汗などにより創部が汚染され感染するケースが出てきました。

創感染

最も多くは皮下感染なため消毒や抗生剤の内服等で改善しますが、最悪細菌が深く創部に入り込んだ場合は創部を開放し消毒に努めることが必要になってきます。また人工補強材に細菌が感染した場合は、せっかく人工補強材を一度抜去し、再手術を施行することになってしまうケースもあります。