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ソケイヘルニアとは?

ソケイヘルニア手術の変換

ソケイヘルニア手術の変換の流れ

1887年 Bassiniによる手術報告⇒近代的手術の開始
約70年
1958年 Usherら⇒鼠径ヘルニアにはじめてメッシュを使用
約30年
1988年 Lichtensteinら=“tension free”を強調した
再発のない術式(0%,1000例)⇒メッシュ使用の普及
約2年
1990年 鏡視下ヘルニア修復術の開始
=異物使用に対する抵抗感の減少
⇒爆発的なメッシュ修復手術の普及
約15年
現在 様々なメッシュ修復術が普及

メッシュについて

メッシュの素材
Polypropylene(PP):
軽くて、強く、酸・アルカリなど耐薬品性も良い。
融点は170℃、成形品は150℃でも変形しない。煮沸滅菌が可能。代表的硬質プラスチックであるpolymethyl methacrylate(PMMA)に比し、耐熱性、靭性、しなやかさ、傷つきにくさの点で優れる。
Polyethylene terephthalate(PET):
バイオマテリアルでポリエステルといえばこのPETのことをさす。強度が大きく、吸水性は小さく、水中での強度低下も少ない。線維としてはダクロンの名前で知られている。ポリエステル結合は炭素-炭素結合に比し加水分解されやすく、本質的には分解・劣化する。
Polytetrafluoroethylene(PTFE):
一般的にはテフロンの名称で有名。化学的に不活性、耐熱性に優れ(250℃でも長期安定)、水性・油性いずれにも非粘着性。融点が高く(330℃)、溶解粘度が低いため、成形加工上の制約が多い。連続気孔性の多孔質体に特殊加工したもの=Goretex。

代表的なメッシュの性状

Polypropylene
Marlex Prolene Prolene
Marlex Prolene Prolene
ePTFE
ePTFE
ePTFE
Heavyweight mesh
(PROLENE Mesh)
Heavyweight mesh
Lightweight mesh
(PROLENE Soft)
Lightweight mesh
Lightweight mesh
(Soft mesh)
Lightweight mesh
Density 105g/u 45g/u Weight 従来比40%
Thickness
(Profile)
0.51o±0.05 0.43o±0.07 従来比60%
Flexibility 623.53r/p 176.71r/p Pore 従来比20倍

株式会社メディコン運営サイト:ヘルニア倶楽部

メッシュブラスト強度腹圧比較

グラフ

製品化されている代表的なパッチ−polypropylene−

BARD社製
Marlex mesh sheet
Marlex mesh sheet
mesh-plug
mesh-plug
Kugel patch
Kugel patch
Ethicon社製
Prolene mesh sheet Prolene hernia system(PHS) Prolene hernia system(PHS)
Prolene mesh sheet Prolene hernia system(PHS)

利点と問題点

パッチ使用がもたらした利点

再発率の低下:
“tension free”修復術は手術後の組織緊張が起きない(少ない)ため、再発率が低く、いずれの術式でも再発率は2%以下とされている。

手技の画一化:
あらかじめ形成されたパッチを使用することによって手技が画一化され、ヘルニア専門施設と一般の施設での再発率の格差もなくなった (画一化された手術=簡便であるという誤解が、不適切な手術を招くという弊害もある….) 。

治療期間の短縮:
鏡視下手術以外は局所麻酔下の手術も可能であり、術後疼痛の持続期間も短くなったため、入院期間の短縮が可能となった。

残されている問題点

術後漿液腫と感染:
パッチを使用することによって、術後漿液腫が増加したが、殆んどの症例では穿刺の必要もなく保存的に治癒する。感染を起こす頻度は増加していないが(当院) 、腸管嵌頓壊死例などcontaminatedな状況下では、やはり感染に強いとされていてもパッチの使用は躊躇われる。術後難治性の感染のためメッシュ摘出を余儀なくされたそけいヘルニア症例は0.2%(1/549例,当院)である。

パッチの収縮・移動:
現在多く使用されているpolypropyleneパッチは、瘢痕治癒の際に収縮を起こすことが知られている(動物実験, 面積で40%↓, 6weeks :Meddings 1993, Klinge 1999)。現在われわれが施行しうるのは、大きめのパッチを強固な組織に確実に固定することである。

瘢痕による強固な疼痛:
ごくまれではあるが、強固なプレート状の瘢痕形成によるとされる疼痛の報告例がある(文献)。いずれの症例も、瘢痕と正常組織の縁の部分に疼痛を訴えている。

異物反応:
・重量タイプ(Marlex, Prolene,etc)=初期は顆粒球支配の急性炎症反応、3週間は純漿液性の水腫形成。
反応のpeakは2-3週で、2週目以降瘢痕組織がパッチを覆いはじめる⇒瘢痕プレートの形成。
パッチ周辺への急性炎症の波及=精索の硬化など。
家族計画の終了してない若者へのパッチ使用の中止(Stoppa 1999, Hourlay 1997)。
腹膜外炎症の腹腔内への波及=腸閉塞の原因 (Attwood 1994, Leroy 1994, Eller 1997, Vader 1997, Leber 1998, Morris Stiff 1998)。
重量タイプ画像

・軽量タイプ(Prolene Soft, Soft mesh)=単球の支配する慢性のリンパ細胞炎症形態で、多数の巨細胞からなる肉芽腫を伴い、コラーゲン線維は肉芽腫を持つネットの周りに配置⇒弾性瘢痕ネットの形成。
Dacron人工血管使用例での15例の肉腫報告 (O’Connel 1976, Weinberg 1980, Jennings 1988, Weiss 1991)。
軽量タイプ画像

ポイント 問題点のまとめ:
いずれの合併症についてもいまだ症例報告である。メッシュが使用されてずいぶん時間は経つが、コントロール下での長期研究が無く、まして数十年単位での観察研究は不可能に近い。したがって、本当に安全であるかどうかの結論は得られていないのが現状。