
ソケイヘルニアとまぎらわしい病気
1.陰嚢水腫・精索水腫
精巣、精巣の血管および精管を被っている鞘膜という袋に液体が貯留した状態です。陰嚢部の鞘膜に貯留した場合が陰嚢水腫で、それより頭側の精索部に貯留した場合が精索水腫です。それぞれ陰嚢、陰嚢上部や鼠径部が腫れてくるのでソケイヘルニアと紛らわしい病気です。| 【陰嚢水腫】 |
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| 引用:日本小児外科学会HP |

2.精巣(睾丸)腫瘍
精巣に発生する腫瘍を指します。当然男性にのみ発生する腫瘍であり、その頻度は悪性腫瘍の中では低く、10万人あたり1〜2人ぐらいの割合です。多くの場合、痛みや発熱を伴わない陰嚢の腫大に気づくことで発見されますので、ソケイヘルニアとの鑑別が重要です。精巣内のしこりが小さい時には、無症状のことが多く、異変に気づいた時に、超音波検査で精巣内の様子を観察することがで診断の助けになります。
しかし腫瘍が増大し精巣内をほとんど占拠するようになると、精巣全体がかたいしこりとして触れるようになり、左右の大きさの差、硬さの違いなどから自然と自分で異変に気づくことも少なくありません。悪性腫瘍が疑われる場合には、この腫瘍は非常に速く増殖し、転移しやすいという特徴があるので、診断の意味も込めて直ちに精巣を摘出する手術が必要です。
進行具合、病理組織の結果で、放射線療法、抗がん剤投与、手術療法などを組み合わせて治療を行うことになります。

3.ソケイリンパ節の腫脹
ウィルス、細菌などの病原体による感染症(侵入)の場合、身体はリンパ球をはじめとする免疫細胞の分裂、増殖が活発となり増大します。これがリンパ節の腫れとして認められることになり、リンパ節の腫脹といいます。リンパ節は全身に広く分布していますが、そのうちソケイ部のリンパ節が腫れるとグリグリしたしこりとして触れるようになります。
感染症以外にも膠原病やサルコイドージスと呼ばれる難病、肺癌や胃癌、乳癌などのリンパ節転移、さらには白血病、悪性リンパ腫という悪性疾患でもリンパ節の腫れをもたらしますので、原因を追究することが大事です。
| 【リンパ節】 |
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4.副睾丸炎
副睾丸炎は、精巣上体内の細菌感染症であり、性病であるクラミジアや淋菌に起因することが多いです。多くみられる症状は、精巣の腫張と疼痛であり、激しい炎症で、睾丸自体がひどく肥大し硬化したように感じられます。治療は局所の冷却と安静、抗生物質の投与が基本です。
5.精索捻転
精巣そのものがねじれるのではなく、腹部と精巣をつなげる精索と呼ばれるひも状の部分がねじれる病気です。精索には精巣に出入りする血管と、精液の通り路の精管が入っています。この部分がねじれると精巣に血液が通わなくなり、大変な痛みを伴うばかりか、放っておくと精巣が壊死(えし)して(腐って)しまいます。
症状は精巣から下腹部にかけての急激な痛みであり、発熱はあまり伴いません。吐き気を伴う場合があります。陰嚢部は徐々腫脹し触るとひどく痛むことが多いようです。なるべく早めにねじれを取らねばなりません。
発症から6-12時間が保存的に回復する限界の時間ですが、ねじれが強かったり、時間がたちすぎていて精巣への血液の流れが回復せず壊死してしまった場合は、そのままだと反対側の精巣にも悪影響を及ぼすので、精巣を摘出する手術が必要になってしまいます。
| 【精索捻転】 |
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6.停留睾丸
前述の小児のソケイヘルニアの原因でも記載しましたが、胎児の睾丸ははじめおなかの中にあり、生まれる前に陰嚢までおりて来るのが普通です。ところが、おりてくる途中で止まってしまうことがあり、その状態の事を停留睾丸といいます。停留睾丸自体では症状はみられません。しかし停留した睾丸が腹腔内でねじれると精索捻転を呈してしまう可能性もあり注意が必要です。
生れた時に停留精巣の状態でも、1才までは精巣が下降してくる可能性もあるのでこの間は治療せずに外来で経過を見ることが普通です。
しかし2才頃から精巣萎縮の可能性が出てきてしまい手術が必要となります。
| 【精巣(睾丸)が降りてくる図】 |
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| 【停留睾丸】 |
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7.精索および女性の会陰部静脈瘤
精索静脈瘤(会陰部静脈瘤)は静脈血が逆流することにより、陰嚢上部(ソケイ部付近)の静脈叢が怒張・うっ血し腫脹してしまう状態です。男性不妊の原因ともなります。)

8.大腸がん
| 【大腸がん】 |
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| 引用:胃腸.JP |
ソケイヘルニアにて腸が出たり入ったりしていることを繰り返している方は比較的に便秘傾向になる率も高く、たかがソケイヘルニアであろうなどと考えていた方が腸の中に実は疾患を持っていたという例は少なくありません。

9.憩室炎
| 【憩室炎】 |
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| 引用:胃腸.JP |
一般に無症状ですが、憩室内に糞便が貯まり、炎症を起こすと、憩室炎といい腹痛や発熱を呈するようになります。
痛みはソケイ部付近まで放散することがあり、ソケイヘルニアの痛みと紛らわしいことがあります。憩室炎をなんども繰り返していると、腸管は硬くなり、融通の利かない腸になり、便がスムーズに腸管内を移動できなくなり、便秘、下痢、腹部膨満、違和感の原因になります。また憩室が深くなり腸管を栄養している血管を損傷すると、そこから出血し下血を呈します。








